2023年のミニジオラマサーカスで宮崎リニア実験線に存在する日豊本線との立体交差部分を製作した記録です。
ミニジオラマサーカスの解説などは公式ページをご覧下さい。
モデル地選定
今回のミニジオラマサーカスを知ったのが締切約一ヶ月前かつこれまでジオラマの作製経験は全くなかったので正攻法では到底間に合わない事が自明でした。
そこでモデルに求められる仕様は以下の3つでした。
・既存の3Dデータを流用できる事
・一般的なジオラマ作製手法(バラスト撒きやウェザリング)が最低限で済む事
・3Dプリント、レーザーカット等で部品が製作できる事
3Dデータを流用する基になる製品リストをご覧頂けると分かるのですが、モデル地になりそうなのはリニアモーターカーか姫路のモノレールでミニジオラマは単線なので並行する日豊本線が単線のリニアモーターカーに絞ってモデル地を探しました。
リニアモーターカー関係の3Dデータは既にあり、日豊本線と並行する部分は線路と実験線以外は木もない平らな草地なので緑のパウダーを撒くのみで済むという事で仕様にもぴったりでした。
地図で探すと宮崎リニア実験線には日豊本線と立体交差する部分があるので、今回はここをモデル地とすることに決定しました。
ミニジオラマベースの3Dモデリング
3DCAD上でジオラマの部品をモデリングするために、まずはジオラマの土台となるミニジオラマベースを採寸して3Dモデリングしました。
ミニジオラマサーカスは高さ方向の制約が特に厳しいため、アクリルケースと建築限界の指標となるユニジョイナー外しも合わせてモデリングする事でリニア実験線の高架が入れられるスペースが明確になるようにしました。
ジオラマの3Dモデリング
ベースの上に実験線のストラクチャを載せていきます。
既にある3Dデータはリニアモーターカーの軌道のみだったので、橋脚を追加でモデリングしていきます。
ユニジョイナー外しとアクリルケースの規格に気をつけつつ画面上でバランスを確認しながらモデリングをしていきます。
高さ方向の制約は本当に厳しく車両、ケースとのクリアランスはそれぞれ1.5mm,1mmとなっています。
上2枚がモデリングが完成した図になります。モデリングを行った部分は主にリニア実験線の橋脚になりますが、ユニトラック部分にもバラスト撒きを不要にするためバラスト留めを追加しています。
部品製作(3Dプリント,レーザーカット)
モデリングが完了したら3Dプリントやレーザーカット等の製造方法毎にデータを分けていきます。
上の図では以下の分け方になります。
赤 : 3Dプリント(MJF)
黄 : 3Dプリント(SLA)
緑 : レーザーカット
水 : 手作業
データの分割が済んだら製造をします。3Dプリントは外注サービス、レーザーカットは機械を借りられる施設をそれぞれ利用しています。
全部品が出揃いました。色は後で塗装するのでバラバラですが素材の色を揃える事もできます。
組立と完成
まずは仮組みをして合いが悪い部分を調整していきます。
今回は手作業で切った土台があるので主にその部分に調整の必要が集中していました。
調整が済んだら各部品を塗装して仕上げていきます。
いずれも市販の塗料やパウダー等のジオラマ用品をそのまま利用しました。
部品の仕上げが完了したら組み立てていきます。
最後に草のパウダーを少しだけ橋脚にも付けて完成です。
AR作成
今回は規格が厳しく、上の図のようにリニアモーターカーを設置する事ができませんでした。
そこで実物ではなければケースには接触しないのでOKかもしれないと考えてARでリニアモーターカーを表示する事を考えました。
ARの製作にはAdobe Aeroを用い、画像の位置をベースにリニアの位置を決めるように設定する事でAR表示を盛り込みました。
結果、ある程度の位置合わせは可能でしたが微調整が非常に難しく製作者が付きっきりになれないこのジオラマでは適用は厳しいとの結論になりました。
ARにアニメーションを入れると上の動画のようになります。